シェイクスピア学会

2017.03.07お知らせ

第56回シェイクスピア学会研究発表ならびにセミナーメンバー募集要項(締め切りました)

 第56回シェイクスピア学会は、2017年10月7日(土)、8日(日)の2日間にわたり、近畿大学(東大阪キャンパス)において開催されます。つきましては、下記により研究発表ならびにセミナーメンバーを募集いたします。  なお、シェイクスピア学会と同時に開催しておりました、シェイクスピア・ワークショップは第11回(2016年度)をもって終了し、シェイクスピア学会のセミナーの一つとして統合されます。同ワークショップが担ってきた「大学院生を主とする若手研究者の知的・学問的交流の場を作る」という機能を、その重要な役割の一つとして引き継ぐことで、セミナーが今まで以上に広く、すべての会員に開かれた知的・学問的交流と共同研究の場になります。  第56回(2017年度)シェイクスピア学会では、3つのセミナーのうち、「セミナー3」が特に上記の目標を念頭に置いて企画されたものです。例えば修士課程の大学院生など学生会員・若手を含めて、広く会員の方々がセミナーメンバーにご応募くださることを期待します。

◇研究発表

学会1日目に行われる研究発表を募集します。以下の<研究発表応募規程>をご確認のうえ、奮ってご応募ください。

<研究発表応募規程>

1. 応募者は日本シェイクスピア協会の会員であり、応募時にその年度の会費を納入済みであること。
2. 一般研究とし、テーマを問わない。ただし未発表のものに限る。
3. 応募の採否は日本シェイクスピア協会委員会が決定する。
4. 応募の際には、WORD(.doc)、WORD(.docx)あるいはリッチテキスト(.rtf)のファイル形式で、以下の[1][2][3]をssj-conference@nifty.com宛てに、2017年6月16日(金)正午までに電子メール添付で送付するものとする。なお電子メールの件名は「研究発表応募」とすること。
  [1] 研究発表概略(横書き和文2,000 ~4,000字、または英文800 ~1,500語)。
  [2] 研究発表要旨(学会プログラム資料原稿用、横書き和文400字、または英文150語以内)。
  [3] 以下の情報を記載したカバーレター
    ・研究発表のタイトル
    ・氏名 [ふりがなつき]
    ・現在の所属と職名・身分(現在の所属がない場合は簡単な経歴)
    ・連絡用の住所、電話番号、ファックス番号(ファックスがある場合)、電子メールアドレス
なお、応募メール送信後1週間を経ても応募受領通知の返信がない場合は、上記アドレス宛てに問い合わせを行うこと。 *応募方法が電子メールに変更されましたので、ご注意ください。

◇セミナー

学会2日目に3つのセミナーを企画しました。セミナーメンバーを募集します。下記の<セミナーメンバー応募規程>をご確認のうえ、奮ってご応募ください。 セミナーは日本シェイクスピア協会会員がメンバーとなって共同研究を進め、知的・学問的交流を行うための場です。またコーディネイターの裁量で、コメンテイターおよび日本シェイクスピア協会会員外のゲストが加わる場合もあります。 今回企画したセミナー3では、まだ学会発表等の経験が少ない学生会員・若手会員の積極的応募を特に推奨しますが、年齢の制限等はありません。また逆に、学生会員・若手会員がセミナー1やセミナー2に参加することをなんら妨げるものでもありません。

<セミナーメンバー応募規程>

1. 応募者は日本シェイクスピア協会の会員であり、応募時にその年度の会費を納入済みであること。
2. 応募の際には、WORD(.doc)、WORD(.docx)あるいはリッチテキスト(.rtf)のファイル形式で、以下の[1][2]を、ssj-conference@nifty.com宛てに、2017年5月8日(月)正午までに電子メール添付で送付するものとする。なお電子メールの件名は「セミナー応募」とすること。
  [1] 発言の「主旨」(横書き和文200字以内、または英文100~150語)。
  [2] 以下の情報を記載したカバーレター
    ・参加希望のセミナーテーマ
    ・氏名 [ふりがなつき]
    ・現在の所属と身分(現在の所属がない場合は簡単な経歴)
    ・連絡用の住所、電話番号、ファックス番号(ファックスがある場合)、電子メールアドレス

なお、応募メール送信後1週間を経ても応募受領通知の返信がない場合は、上記アドレス宛てに問い合わせを行うこと。 各セミナーとも、コーディネイターと協議のうえ、メンバーの選抜を行う場合があります。 *応募方法が電子メールに変更されましたので、ご注意ください。 各セミナーの①コーディネイター、②テーマ、③指針は以下の通りです。

セミナー1

① 石橋 敬太郎(岩手県立大学教授) ② トマス・デカーの作品とその時代性 ③ 推定によると、トマス・デカーは、40編以上の演劇作品(単独作品は5編)を執筆し、そのうち17編が現存していると考えられている。一般にデカーと言えば、市民階級の生活を写実的にあるいは教訓的に描いた劇作家としてよく知られている。しかし、そればかりではなく、「時代性」という観点から見たとき、彼には、バーバリー王子の権力欲を描いたLust’s Dominion(1600)反スペイン感情に訴えたSir Thomas Wyatt(1604)やThe Whore of Babylon(1606)など、創作時のイングランドを取り巻く国際情勢を扱った作品も存在する。さらに、演劇作品以外にも、デカーは、ペスト流行時のロンドンの恐怖をつづったThe Wonderful Year 1603(1603)、下層社会に巣食う悪や欺瞞を記述したThe Seven Deadly Sins of London(1606)など、市井の状況を活写したパンフレットも多数執筆していた。  このように、デカーは、彼がおかれていた創作環境の中で、時代と向き合い、その当時のポリティクスや市民生活の矛盾などを描いた作者ということが可能である。そこで、本セミナーでは演劇作品を中心に、パンフレットや散文作品も視野に入れながら、デカーの作品がどのように時代を映し出し、どのようなメッセージを発信していたのかを明らかにすることを通して、デカーの同時代性の解明を試みたい。

セミナー2

① 村上 健(津田塾大学教授) ② 英學史におけるシェイクスピア ③ 「シェイクスピア没後400年(2016年)」と「明治150年(2018年)」に挟まれた今年(2017年)は、「日本におけるシェイクスピア受容史」を包括的に再検討するには格好の時期ではないでしょうか。
 これまでの「受容史」研究は、翻案を含む個別の「翻訳」と「上演」研究が中心となってきましたが、その研究の土台となる演劇資料や情報は充分に集大成されているのでしょうか。また、「受容史」の射程を拡げ、日本人研究者による「研究 (法)」も含めると、どのような問題が見えてくるでしょうか。  英国ルネサンス演劇を俯瞰する為の基本文献だった "Annals of English Drama, 975-1700"(3rd ed., 1989)を完全に凌駕するMartin Wiggins, "British Drama 1533-1642: A Catalogue"(既刊7巻、全10巻予定)を横目で睨みながら、広義の書誌学的研究法を意識しつつ、幕末から明治・大正・昭和前期辺りまでを中心に議論したいと考えています。

セミナー3

① 中村 未樹(大阪大学准教授) ② 『十二夜』を読む ③ シェイクスピアの喜劇『十二夜』については、これまでジェンダー、セクシャリティ、変装、階級、地理学、宗教、祝祭性、ジャンルなど、様々な観点からの分析が行われてきました。また、本作品は舞台において特に人気のあるシェイクスピア作品の一つになっており、多様な演出による上演が試みられています。そして、歌舞伎や映画など異なるメディアにおける翻案も行われています。このセミナーでは、本作品に関する先行研究、また17世紀から現在までにおける上演および翻案の状況を踏まえながら、『十二夜』の新たな解釈の可能性を模索していきたいと思います。様々な角度からこの作品を読み解いていき、最終的にそれらの成果を繋ぎ合わせることで、本作品の歴史的・文化的意義、喜劇性、そして観客・読者に対する効果などを総合的に捉えていくことが狙いとなります。  本セミナーは従来のシェイクスピア・ワークショップの代わりとなるものです。大学院生(修士課程を含む)及び若手研究者の方々の本セミナーへの参加を特にお待ちしております。