会員のみなさまへ

2022.04.01お知らせ

2022年度シェイクスピア祭 ライブ配信への変更のお知らせ

2022年の「シェイクスピア祭」は、会場側の都合により、オンラインでのライブ配信となりました。 久しぶりの対面でのシェイクスピア祭を楽しみにされていた方々に は深くお詫び申し上げます。

 

423日(土)には、以下のYouTubeサイトでのライブ・ ストリーミングを行います。

https://youtu.be/kh1ZHC7d5dg

YouTube シェイクスピア祭2022」とGoogle検索しても、 ストリーミングに誘導されます。チャンネル名は「ShakeFest2022」ですので、チャンネル登録しておくと便利です。

 

プログラム

13:00 ご挨拶(末廣 幹 シェイクスピア協会会長・専修大学教授)

13:10 講演 篠崎 実 (千葉大学教授)

「テクストが語る創作の軌跡~シェイクスピア複数テクスト劇の読解~」

 

*** 休憩 ***

 

15:00 トーク 谷 賢一 DULL-COLORED POP主宰、劇作家・演出家・翻訳家)

「シェイクスピア、演劇教育、そして劇場」

    聞き手 野田 学氏(明治大学教授)

16:20 閉会の辞(服部典之 日本英文学会会長・大阪大学名誉教授・関西外国語大学教授)

 

一般公開(予約不要)

主催  日本シェイクスピア協会・日本英文学会
協力  明治大学学部間共通講座「シェイクスピア劇の現代的魅力」




講師プロフィール

谷 賢一(たに・けんいち)氏 劇作家・演出家・翻訳家。1982年、福島県生まれ、 千葉県柏市育ち。DULL-COLORED POP 主宰。明治大学文学部演劇学専攻ならびにイギリス University of Kent at Canterbury, Theatre and Drama で演劇学を学び、その後劇団を旗揚げ。「 斬新な手法と古典的な素養の幸せな合体」(永井愛) と評されたポップでロックで文学的な創作スタイルで、脚本・ 演出ともに幅広く評価を受けている。2013年には『 最後の精神分析』の翻訳・ 演出で小田島雄志翻訳戯曲賞ならびに文化庁芸術祭優秀賞受賞。2016年にはセゾン文化財団ジュニア・フェローに選出される。3 世代、3つの家族を通して福島県と原発の歴史を描いた『 福島三部作』一挙上演(2019年)により、2020年には鶴屋 南北戯曲賞受賞(三部作第二部『1986年:メビウスの輪』 に対して)ならびに岸田國士戯曲賞(三部作に対して) を受賞している。海外演出家とのコラボレーションも多く手がけ、 シルヴィウ・プルカレーテ演出『リチャード3世』、 アンドリュー・ゴールドバーグ演出『マクベス』、デビッド・ ルヴォー演出『ETERNAL CHIKAMATSU』などに脚本や演出補などで参加している。 シェイクスピア作品としては『マクベス』(DULL-COLORED POP 2019 KAAT神奈川芸術劇場)を翻案・演出している。


トーク 劇団の内外で劇作家・演出家・ 翻訳家として近年めざましい成果を上げている谷賢一氏に、「 シェイクスピア、演劇教育、そして劇場」という題で、 演劇教育と近年の演劇をめぐる国際的視座からの考察、 そしてそこにおけるシェイクスピアの場所をうかがいます。


篠崎実(しのざき・みのる)氏 千葉大学教授。 シェイクスピアならびに同時代のシドニーやジョンソンについての 出版・流通に着目した研究を主たるフィールドとする。また、 上演に関しても洞察に溢れる論を多く著している。 主要論攷として「‘The rest is silence, O, o, o, o.’:『ハムレット』の改訂をめぐって」( 日本シェイクスピア協会編『甦るシェイクスピア:没後400周年 記念論集』所収、研究社、2016年)、「嘆かわしい一幕:『 リチャード二世』検閲説をめぐって」( 日本シェイクスピア協会編『シェイクスピアとの往還: 日本シェイクスピア協会六〇周年記念論集』所収、研究社、2021年)などがある。


講演要旨 シェイクスピアの劇作品は第3二つ折本全集第2刷(1665年) までに収録された37篇とされるが、うち18篇が劇作家の生前に 四つ折本などの小さな判型で個別出版されている。そのため、 シェイクスピア劇には、 全集所収の本文と個別出版の版本がある複数テクスト劇が存在する 。さらに個別出版された劇のなかには、 本文の状態が異なる複数の四つ折本で出版されたものもあり、 前世紀の初頭に書誌学者AW・ポラードはそれらを「 良好四つ折本」と「劣悪四つ折本」に大別した。

 だが、私がシェイクスピア研究をはじめた1980年代は、 劇作品の本文にたいする見方の大きな転換期であった。『リア王』 の四つ折本と二つ折版全集の本文の違いを検討し、 著者改訂説を前面に押しだした論集『王国の分割(The Division of the Kingdoms)』(1984年)と、二つの『リア王』 をおさめた『オックスフォード版シェイクスピア全集』(1986 年)により、劇作品を固定的な完成版とみなす立場から本文の「 良好/劣悪」を判断する方法に代わり、 本文の変化という動態から見る視座が導入されたのである。


 今回の講演では、『ロミオとジュリエット』、『ハムレット』、『 ヘンリー五世』、『リチャード二世』 などの多テクスト劇の本文を検討し、 劇作家の原稿が舞台稽古の過程で修正されたり、 劇作家が台本を改訂したりする、 劇場での創作のあり方を推定して、劇作品創作のいわば四次元化、 動態化を試みる。


シェイクスピア祭

 

日本シェイクスピア協会と日本英文学会は、 シェイクスピアの生誕を祝うのが慣わしとなっている423日 (聖ジョージの日)頃にシェイクスピア祭を主催し、 講演やパネルディスカッションを行っています。 シェイクスピア祭の行事は、 シェイクスピア協会員でなくてもご参加いただけます。